
ライフサイエンスは日々の生活に密接することが研究対象です
ライフサイエンスとは日本語で生命科学と訳され、生物体と生命現象を対象とした生物学を中心に、医学、薬学、農学、工学、心理学などの分野も研究の対象とした、統合的に研究することを目的とした学問です。つまり、あらゆる生命に関することを、複数のジャンルの学問によって多角的に研究するということです。この研究は私たち人間にとって非常に密接な学問で、よりよく食べる、よりよく暮らす、よりよく生きるなど、日々の生活につながる学問なのです。
ライフサイエンスの中で特に注目されているのが、細胞や遺伝子のメカニズムをどれだけ解明できるかということです。例えば、癌に効果のある薬を作るためには、癌という病気のことを詳しく解明する必要があります。そして、遺伝子の研究については、ライフサイエンスの中でも重要な研究対象となっていて、ゲノムの配列解読が急速に進められています。人の暮らしをよりよくするために、科学的に改善させようとするこの学問は、21世紀において特に期待されています。
あまりにも高度で専門的な学問のため、なんとなく大事な研究をしているのかと漠然と感じるかもしれません。ところが、実は私たちの生活の中で既にライフサイエンスと大きく関わりのあることがあります。それは遺伝子組み換え食品です。ある食材のDNAを分析して、特定のたんぱく質を生み出すことによって、新たな特性を持った食材を作る技術ですが、組み換えを行ったことによって、枯れにくくなったり、農薬に強くなったりと、簡単にたくさんの作物を収穫することができます。
既に遺伝子組み換え食品は大豆やとうもろこしなど、一般に流通しているものもあります。ところが、安全といわれているにも拘らず、ライフサイエンスの分野では解明されていないことも多くあります。組み換え食品同士の交配や、人体に及ぼす影響など、まだまだ研究されている最中のことがたくさんあるのです。これらの研究は上昇傾向にあるトレンドとなっていて、研究開発水準は世界でも高い水準となっている一方で、産業に生かす技術力は、欧米諸国に比べると弱いため、これから更に発展が期待できる研究分野といえます。